新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に代表される新興感染症や様々な再興感染症による社会、経済への脅威は益々増大し、感染症の研究とその対策にあたる専門家養成の要望が国内外において一層高まっています。国際感染症学院では、このような社会的要請に応えるため、感染症学に関する広い視野、柔軟な発想力及び総合的な判断力を有し、我が国のみならず世界の感染症学の発展ならびに感染症の制圧に寄与できる実践的な能力と指導力を備えた人材の育成を目指しています。
ヒトや社会の健康保持には、動物の健康や環境の保全を一つとして考える必要があるという「One Health」の概念が国際的広がりを見せています。「One World-One Health」とは、2004年に提唱されたマンハッタン原則のことで、人、動物、環境の健康は相互につながっており、これらを一つの健康としてとらえるコンセプトです。感染症や健康な生活、ウェルビーイングの促進、安全な環境、気候変動など、多くのSDGsの項目は、このOne Healthの概念を包含しています。多くの感染症の克服においても、この「One Health」の理念を推進して、学問・研究領域間の壁を越えた連携が必要です。国際感染症学院では、「One Health」にかかわる学際的・実践的な国際活動を取り入れた大学院教育を推進してきました。
SDGs達成のために、人獣共通感染症国際共同研究所、獣医学研究院、創成研究機構ワクチン研究開発拠点および医学研究院等の教員が、それぞれの専門を活かした分野横断的な教育体制を構築し、世界30カ国以上の共同研究ネットワークを活用して、「感染症プロフェッショナル」の養成を目指して、社会的に問題となっている感染症の制御を主導できる人材を養成します。