「フロンティア精神」、「全人教育」、「国際性の涵養」および「実学の重視」という北海道大学の4つの基本理念の下、総合化学院では化学および化学関連の幅広い分野において次世代フロントランナーとなるトップクラスの研究者と技術者の育成に取り組んでいます。
「化学」は幅広い分野をカバーする学問であり、過去10年のノーベール化学賞受賞者の研究分野を見ても、本学名誉教授鈴木章先生の有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング、準結晶の発見、Gタンパク質共役受容体の構造と機能解析、複雑な化学系のためのマルチスケールモデルの開発、超高解像度蛍光顕微鏡の開発、DNA修復機構の解明、分子マシンの設計と合成、クライオ電子顕微鏡の開発、タンパク質の進化分子工学、リチウムイオン電池の開発と多岐にわたっています。本学院は、これらの幅広い領域をカバーする教育・研究活動に取り組んでいます。
本学院の特徴として、化学の基礎に重点を置く理学部化学と、実学的応用に重視する工学部応用化学の融合に加え、学内の触媒科学研究所、電子科学研究所、遺伝子病制御研究所の協力、ならびに学外の物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、理化学研究所、国立循環器病研究センターとの連携で組織された、化学に特化した国内では他に類を見ない「総合化学」の大学院であることが挙げられます。具体的には上記組織に属する50の研究室が下記の「分子化学コース」、「物質化学コース」、「生物化学コース」に分かれて参画し、化学の各専門領域について理学系・工学系の双方の立場から俯瞰した体系的教育が実現するカリキュラムを組んでいます。
さらに本学院では、グローバル人材(世界的に活躍する人材)の育成に向け、本学または海外連携大学で海外の学生と共に英語講義を受講する「サマー・インスティテュート」や「ラーニング・サテライト」等のプログラムをフロンティア化学教育研究センター等の協力を得て積極的に推進しています。博士後期課程においては、外国人留学生と日本人学生を対象とした英語教育コース「国際先端物質科学大学院」を設置し、教育の国際化に取り組んでいます。