上空から見た函館キャンパス

水産科学研究院では、保有する2隻の練習船「おしょろ丸」「うしお丸」を活用し、海洋環境や生息生物を長年にわたりモニタリングしており、そのデータを公表しています。また、水産関連研究所との共同研究や委託事業等を通して、水界生態系の破壊を最小限に抑える・阻止する技術の開発や取り組みを実施しています。たとえば「おしょろ丸」においては、環境省が実施する日本の沖合海域における漂流・海底ゴミ(マイクロプラスティックを含む)の調査協力を行っていたり、「うしお丸」は多年にわたり海洋の表層水温の観測通報に積極的に協力し、気象業務の発展に寄与した功績により、2020年度の国土交通大臣表彰を受賞しています。これらは、2015年の国連サミットにおいて示された持続可能な開発目標(SDGs)の14番目「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し持続可能な形で利用する」ことを達成するための取り組みの一つといえます。
気候変動の加速によって生じた多くの問題の中でも、地球面積の約70%を占める海洋に関する問題はとりわけ深刻であり、海洋環境と生態系、さらには「水産業の持続とその可能性」そのものに関わる問題となっています。有限な地球システムの容量と脆弱性を正しく評価し、「水産の持続性」を実現するためには、科学根拠に基づく海洋環境や水産資源評価、そして適正な資源管理が不可欠です。また、そのためには、地球システムを俯瞰する広範な知識を収集し、さらに研究を進化させる必要があります。本研究院においては、水圏生物の生態等に関する研究や水産資源の活用等に関する研究を促進するため、地方公共団体等とも積極的に連携協定を締結しており、それらの研究成果が学術的利益に寄与することを目的として日々研究に取り組んでいます。

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水産科学研究院