腸内環境をパラダイムシフトするαディフェンシン ー医食同源の科学的理解から予防医療までー
大学院先端生命科学研究院生命科学研究部門 細胞生物化学分野 自然免疫研究室では、自然免疫のはたらきを解明することにより、健康と病気を分けるメカニズムを理解し、難治免疫疾患の克服に貢献することを目指しています。
αディフェンシンは、小腸上皮細胞であるPaneth細胞から分泌される抗菌ペプチドであり、腸内細菌叢を制御することで、健康と病気に深く関与しています。食品、αディフェンシン、腸内細菌の三者が規定する腸内環境という視点から腸内環境を評価し、パラダイムシフトを興して病気の機序解明や予防医療開発に繋げます。
具体的には、三次元小腸上皮培養系のエンテロイドを用いて、Paneth細胞の自然免疫 (αディフェンシン分泌)、腸内細菌との共生、再生・分化など多彩な機能の分子機序を、共焦点レーザー顕微鏡やフローサイトメトリーなど最先端分析手法を駆使して理解します。腸は生体において様々な臓器間ネットワークを形成しており、Paneth細胞の機能を中心に据えてその仕組みを解析することで、腸内環境を制御して様々な病気の予防策や治療法を創生します。
腸からみれば「食」も「医薬」も同じであり、創生した知から産学・地域連携を通じて健康長寿社会の実現「SDG 3, 9, 17」に貢献を目指しています。