北海道⼤学は、再生可能エネルギー技術の研究と人材育成の共同プロジェクト拠点「リニューアブルエナジーリサーチ&エデュケーションセンター(Renewable Energy Research & Education Center: REREC」(代表者:宮下和士・北方生物圏フィールド科学センター)を2024年6月より5年間の期間で新設しました。

 

北海道は、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルが全国随一であり、活用への期待がますます高まっています。その反面、人口減少や少子高齢化など多くの先進国が直面する課題を持つ課題先進地でもあり、サステイナブルな地域成長モデルの構築が求められています。

本センターは、再生可能エネルギー導入にあたり、地域の適切な環境影響評価を行い、自然資本をサステイナブルに活用するネイチャーポジティブと、地域のコミュニティデザインと地方創生を実現する地域社会ポジティブを両立させる社会システムの実装に貢献します。

目的・必要性

太陽光・風力・バイオマスなどの再エネの活用は、温室効果ガス削減に資する一方で、森林伐採など土地利用変化による生態系の攪乱、自然資本の持続可能な活用などの面で対策の必要性が指摘されています。SDGsではさまざまな目標の調和が求められており、北海道に立地し次世代を担う人材を育成する本学はこれを看過することはできません。
再エネ活用による土地利用変化は、農林水産業との競合や生態系への影響リスクが大きくトレードオフが起きやすく、農・林・水産学・生態学分野の研究実績を有し、SDGsにも強い本学が再エネに関する教育研究に取り組むことで、ネイチャーポジティブと地域社会ポジティブのバランスの取れた課題解決力を持つ人材を輩出します。

教育研究内容

学部教育・大学院教育を通じて、再エネ活用に関する企画開発、環境影響評価、設置・運用・管理・撤去までのライフサイクル全体を俯瞰した研究を推進するとともに、ネイチャーポジティブと地域社会ポジティブを両立させる社会システム実装を総合的にマネジメントできる人材を育成します。
まずは、北海道洋上風力アカデミー(HOA)コンソーシアムを活用し、自治体、企業、教育研究機関等と連携したリカレント教育を展開して専門人材を輩出します。また、これを様々な再エネに関する教育研究に展開・発展させるとともに、地方創生との両立に寄与します。

期待される成果

再エネの導入を進める地域と協働し、事業者と地域のステークホルダーや住民との合意形成プロセスに関与できる人材育成と環境システム評価ツール開発を推進することで、地域への利益の還元と自然資本の持続可能な活用を目指します。

ネイチャーポジティブ、地域社会ポジティブの両立を図る
人材の育成と環境システム評価研究

  • 再エネ導入による環境負荷をトータルで評価することで、ネイチャーポジティブな事業計画の策定に寄与します。
  • 地域が有する自然資産の価値の新たな評価方法を構築し、評価結果を「見える化」することで、自然資産の価値を地域の 中で共有するとともに、その在り方や活用について検討し、地域社会ポジティブを実現します。
  • 地元企業からの調達率の向上と質の高い雇用の創出を実現します。

 

7月4日記者会見(左から、北方生物圏フィールド科学センター 宮下和士 教授・センター長、工学研究院 石井一英 教授、水産科学研究院 藤森康澄 教授、サステイナビリティ推進機構 加藤悟 教授)