1880年、開校まもない札幌農学校の外国人教師ジョン・C・カッター博士が動物学の授業で水産学に関する講義を行っており、これが我が国における水産学教育の始まりとされています。多くの自然科学が欧米を手本として発展したのとは異なり、水産学は自然科学の中で、唯一我が国に起源を持つ学問であり、北海道大学で生まれ、育ち、科学として確立した学問です。
現在の水産学部は、札幌農学校の精神を色濃く受け継ぐ学部と言われておりますが、水圏生物資源をベースに持続的生産や環境保全など、さまざまな科学的発見を通して人類社会へ貢献することを教育目標にしています。これは、2015年の国連サミットにおいて示された17の持続可能な開発目標(SDGs)の14番目「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し持続可能な形で利用する」ことの実現を目指すことにつながります。
本学部の特徴の一つとして、練習船実習を通じた「海洋資源」や「生態系」等に関する学びの機会がありますが、近年では海洋分野における実験・実習・研究で使うデータや画像を教育コンテンツとしてウェブアプリに集約する取り組み(Balance de Ocean(バランス・ド・オーシャン))を実施中で、海洋分野のトップサイエンティストの早期発掘と育成、国際的に活躍する若手人材の育成等を目指しています。
洋上実習などの実践的なフィールドワークを取り入れた本学部の卒業生は、乗船や卒業研究などで培われた強靱な精神力と活動力、物事に臨機応変に対応できる柔軟な能力などが評価され、社会のさまざまな分野や世界の舞台で活躍しています。本学部での学習成果は国際的にも高い評価を得ており、水産関連業界はもとより公務員や企業からの注目度も高く、就職における業種は極めて多種にわたっています。また、進学を目指す場合も、希望や目的にあわせ、さまざまな選択を行うことができます。