海の生態系の豊かさ,つまり植物・動物プランクトンから鰭脚類やシャチにいたる生物の個体数はつねに変動しています。それが過去7000年間にわたってどのように変化してきたのかを解明するのが,このプロジェクトの目的です。方法として,考古学的な遺跡から出土したキタオットセイ,ニホンアシカ,マダラの骨の同位体分析・DNA分析を用います。特定の種の歴史が,これだけ長期間にわたって解明された研究は北太平洋の西側ではありません。また,過去7000年間の北海道島の住人は高度に海洋資源に依存してきたことが明らかになってきていますので,海産物の減少はまさに死活問題であったと考えられます。海洋生産性の低下は人類にどのような影響を与えたのかを考えることも,このプロジェクトの目的です。将来,海洋資源の利用方法の改善にも有益な情報がえられることが期待されます。
関連する研究助成事業
高瀬 克範 (北海道大学 文学研究院 考古学研究室・准教授)
「北海道における海洋生産性の長期変動とその人類への影響」(科学研究費助成事業 ・基盤研究(B)/2021-2024年度)